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岩田榮吉の作品

 作品点描
  道化師たち(その2 ジェスター、ピエロ、道化師に扮した人形たち)



岩田の作品に登場する道化師たち、アルルカン、ポリシネルの次に《道化師》(1973年・画集No.56)を見てみましょう。山高帽に青マントを羽織り、宝石箱にもたれているのはジェスター(英語 Jester)でしょうか。ジェスターは君主や貴族の側にあって主人や周囲のご機嫌取りをした「宮廷道化師」です。低い身分ながら何でも直接主人にものを言える立場で、政治的に重要な機能を発揮した例もあり、トランプのジョーカーはそうした話芸中心の道化師ジェスターを表したものといわれます。

そしてピエロ(Pierrot)。フランスではピエロの祖はポリシネルとされていますが、一般にイメージされるピエロの多くは、18世紀ごろからイギリスのサーカスで曲芸や司会を務めたおどけ役の「クラウン(英語Clown)」から分化した、いわばボケ役のクラウンです。マスクや仮面はつけませんが、奇抜なメーク、つけ鼻、かつらまたは帽子をつけ、ダブダブの衣装が典型です。

さてここで道化師たちを描いた岩田の作品をあらためて一覧してみましょう。画集に掲載され道化師の登場する作品は11点あります。そのうち既に見た《アルルカン》(1970年・画集No.30)、《ポリシネル》(1971年・画集No.47)、《道化師》(1973年・画集No.56)は、それぞれの特徴とするものを持ち合わせており、道化師自身(の人形)が登場しているとわかります。しかしその他8点の作品は、それぞれの特徴とするものの一部あるいは大部分が欠けています。

例えば、岩田の代表作である《アルルカン(トロンプルイユ)》(1980年・画集No.112)のアルルカンは、赤・緑・青のひし形模様の衣装こそつけていますが、猫のマスクやバトン(ステッキ)は見当たりません。さらにこのアルルカンの顔は、他の作品でも見かけるものです。つまりここに登場しているのは、アルルカンの人形ではなく、アルルカンに扮した人形なのです。(その他7点も同様に道化師たちに扮した人形です。)


「岩田榮吉画集」掲載の道化師たち
タイトル 制作年 画材 サイズ
(縦横cm)
所蔵 備考
アルルカン 1970 油彩/キャンバス 73×60 個人 30
ポリシネル 1971 油彩/キャンバス 46×38 不詳 47
人形 1975 油彩/キャンバス 24×19 個人 54
道化師 1973 油彩/キャンバス 46×38 個人 56
ピエロ 1974 油彩/キャンバス 92×73 個人 62
アルルカン 1976 油彩/キャンバス 116×89 個人 67
箪笥(トロンプルイユ) 1977 油彩/キャンバス 100×65 国立国際美術館 79
ピエロ 1979 油彩/キャンバス 73×60 個人 101
子供の情景 1980 油彩/キャンバス 116×89 東京芸大美術館 103
アルルカンと玩具 1980 油彩/キャンバス 35×27 不詳 103
アルルカン
(トロンプルイユ)
1980 油彩/キャンバス 119×59 東京芸大美術館 112
(備考欄は「岩田榮吉画集」掲載番号)


    
《道化師》 1973年
《道化師》 1973年


《アルルカン(トロンプルイユ)》 1980年 部分
《アルルカン(トロンプルイユ)》 1980年 部分


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