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岩田榮吉の人物と経歴

 人物点描
  ~第2回個展(その1 彩壺堂/東京セントラル絵画館との関わり)


岩田の第2回個展は1977年10月25日から11月13日までの20日間、東京銀座の「東京セントラル絵画館」で開催されました。「東京セントラル絵画館」は銀座通りに面した「銀座貿易ビル(通称:メルサビル)」の8階全フロアを使い、同ビル7階の「東京セントラル美術館」、ほかに5階フロアも併せて、異色の画商・丸山正武氏が率いる「彩壺堂」グループの複合展示施設でした。


岩田第2回個展の案内状
岩田第2回個展の案内状(紹介文は東京セントラル絵画館が書いている)


丸山正武(1913-1987)は、元薬剤少佐、郷里信州諏訪の薬局店主から純水製造装置メーカー社長、転じて「彩壺堂主人」となった人物です。「オルガノ株式会社」の創業者社長として株式上場も果たしながら、52歳で会社を譲り、1970年頃からの絵画ブームを背景に「閉鎖的な画商の世界に近代的経営手法で殴り込みまたたく間に“画商チェーン”を作った」(児玉隆也「絵画ブームを手玉にとる急進画商№1」現代昭和48年4月号)と評されました。

岩田はパリでも日本でも唯一特定の画商に作品を委ねることを望みませんでした。作品が多くの人々の目にとまり、価値が認められることを嫌ったわけではなく、有形無形の様々な制約を増やしたくなかったからと思われます。その点、「後腐れのない商売」をモットーとする丸山と彩壺堂グループの姿勢に好意を持ったとしても不思議ではありません。それは東京セントラル美術館開館の1971年以降の岩田の作品出展歴からもうかがわれます。

1971年から岩田の第2回個展が開催される前年の1976年までの6年間に、岩田は延べ61の展覧会に出品しています。うち34はフランスでの展覧会ですが、日本国内でも27の展覧会に出品しており、中でも職を得ていた西武百貨店関係の6展を上回る10展が彩壺堂グループの手がけるものでした。第2回の個展を「東京セントラル絵画館」で行うことは、こうした流れに沿ったものだったのです。


東京セントラル絵画館のあった銀座貿易ビル
東京セントラル絵画館のあった銀座貿易ビル(2023年解体)


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