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岩田榮吉の作品

 作品点描
  トロンプルイユ(その3)


岩田は、「額縁に入れる普通の絵」に対して「額縁に入れないトロンプルイユ式の絵」と言いますが(飯沢匡との対談における岩田の発言『みづゑ』1971年1月号所収)、「トロンプルイユ式の絵」はどのように展覧されるのでしょうか。画集などでは多くの場合、「額縁に入れる普通の絵」と同様に正面から見た画像しか掲載されませんが、これではなかなかその本分が伝わりません。

岩田のトロンプルイユは、すべて画面の後ろの箱状の造作と一体になっています。これを真正面からやや位置をずらし、斜めの角度から見ると、箱状の造作自体の実際の奥行きと、画面に描かれた(遠近法的な)奥行きとが相俟って、錯覚を引き起こすことになるのです。実際、展覧会場などでは、正面から見、少し斜めの位置から見た後で、真横に回って画面が平面であることを確認している方が多いようです。


《未完のトロンプルイユ》
《香水瓶とガラス玉(トロンプルイユ)》(未完)

この作品は、未完のため画集その他に掲載していませんが、岩田の没後、そのままの状態でアクリルケースに収めたものです。


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